質問掲示板の功罪
ある質問掲示板でこんな質問を見かけました。
「忸怩たる思い」の「忸怩」ってどういう意味ですか。
それにたいする回答は、オンライン国語辞書の丸写し(リンクつき)でした。そしてそれが「ベストアンサー」として表示されていました。ほかには、広辞苑で引いた意味を記した回答がありました。
質問者は、辞書を引けばすぐに分かることを、なぜそれを怠ってウェブで質問したのでしょうか。仮に読み方が分からないとして、質問掲示板で質問して回答を待つくらいなら、自分でオンライン辞書で引けば良いのに、そのことは思い当たらなかったのでしょうか。
「ネットで聞けば、誰かが教えてくれて、それでまかなえる」そんな「常識」がまかり通っているのかもしれません。
でも、その「常識」は誤っています。
- 情報の入手先が示されていても、ほんとうにそうなのかはたしかめてみないと分かりません。
- 「オンライン国語辞書で引きました」「広辞苑で引きました」と書いてあっても、本当にそうなのか、たしかめてみないと分かりません。
- 情報のトリミングがなされているかもしれません。
- 引用者が意図的に情報を取捨選択して知らせる可能性もあります。元にある情報の一部分しかつたえない、といったことです。その場合、切り捨てられた部分が知らされないことで、受け取る側の判断が違ってくることも考えられます。これも、たしかめてみないと分かりません。
- 情報の取捨選択がなされているかもしれません。
- トリミング以前に、あまたある情報の一部のみ知らされている可能性もあります。たとえば、質問にかんして、AとBとCという異なった結果を示す情報があったとして、Aだけが示される、といったことも考えられます。情報提供者が意図的になす場合と、ほかの情報を知らない場合とが考えられますが、結果は同じことです。このことが受け取る側の判断に与える影響は、トリミングよりもさらに深刻です。
「手がかりを得る」程度だと心得よう
結局、ウェブに限ったことではありませんが、「ひとに聞いて教えてもらったこと」はそのまま鵜呑みにしないほうが良い、ということです。「ひとに調べてもらったこと」は手がかりにはなりますが、手がかりでしかありません。自分で調べ直す必要があります。その際、その調べる先が信頼できるかどうかも考えなくてはなりません。書物にもまして、ウェブ上の情報は玉石混淆※1です。情報提供先の信頼度を自分なりにランク付けすることも、必要です。
「質問掲示板」は、調べる手がかりを持たないひとたちにはとても便利でありがたいものですが、その一方で、簡単に与えられる情報で分かったような気になってしまうという錯覚を起こさせる場でもあります。自分が情報を受け取る場合も気をつけなければなりませんが、提示する場合も、その辺にも配慮した提示のしかたをしたほうが良いのかもしれません。
※1玉石混淆(ぎょくせきこんこう):優れたものと劣っているものが混じって存在すること。
- at 09:32
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