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sugar pot : 親子の季節

ほろ苦い夢のかけらのおすそわけ

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親子の季節

2006年10月02日(月) コメント:0 トラックバック:0

暑くも寒くもない、ぬるったい季節。母は、雨戸を開ける私の背中越しに言った。

「この季節が一番いいわ。過ごしやすい。」

「そうねぇ。」

ほとんど意味のない相槌は、雨戸が戸袋におさまる音にかき消された。

「過ごしやすいし、『いい季節』って言われるけど、私はぎらぎら太陽の夏や、凍てつく風が頬をこわばらせる冬も嫌いじゃないな。」

「ったくこの子は。いつもいつも人に逆らって。」

「鬼っ子でごめんね」心の中で呟きながら、私はお湯を沸かしに台所へ向かった。これだけに限らない。母が良いと思うものは私には容認しがたいものだったり、どうでもいいものだったり、私が良いと思うものは母には理解できないものなのだ。

親子というものはえてしてそういうものだとは思うが、ここまで極端なのはないだろう、と思うのは、母の好物がことごとく私の苦手なものであることを、一緒に取る食事の際に確認せざるを得ないときだ。「好き嫌いが多い」って言われてたけど、若干の同情はあってもいいわよね。家を出てから、好き嫌いはほとんどなくなったんだし。しゅんしゅん音を立て始めたやかんの口から立ち上がる湯気の向こうに幼い自分の姿を見ながら、「大丈夫よ、大丈夫」と私は呟いた。もしもパラレルワールドがあったとして、向こうの幼い私に声が届いたら、幼い私は少し楽になるだろうか。朝っぱらからSF小説?にやつきながら仏壇に供えるお茶を入れるべく、土瓶に湯を注いだ。

母は「老いては子に従え」ではなく、単純素朴に「老いても親は親」な人なので、こちらの母の世界では相変わらず私は幼い私のままだ。私も「子離れ」しなくちゃね、としれっと言う母に、私の人生のテーマのひとつが「親離れ」だということは知られていない。そして、今朝も母の小言は止むことを知らない。

「何ぼんやりしてるの、お茶が出過ぎちゃうでしょ。」

「あ、ごめんごめん。」

「ほんとにあなたって子は。相変わらずなんだから。」

相変わらずなのは母も同じだ。母はずっと私の母だし、これからもこんな調子なんだろうな。母の唱えるお経を聞きながら窓の外に目をやると、「いい季節」を堪能するかのように、心地良さそうに秋桜が風に揺れていた。

odai

#627
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